ニューイヤーオペラコンサート
昨夜、録画しておいたNHKニューイヤーオペラコンサートを観た。毎年1月3日恒例のもので、これを観ると日本のオペラ歌手のいまの水準が判る。
近年の同コンサートからすると、とても斬新。演出も良かったし、司会者の余計なおしゃべりもなく、歌い手の紹介すらなかったのは英断と言える。会場ならプログラムで判るし、テレビだとテロップが出る。「対」というコンセプトも妥当だったし、選曲と歌手の割り振りもよく考えた跡が窺える。メサイアで始まりメサイアで終わる。邪悪さが表出される歌が多かったのも、なんだか新年からの出来事にオーバーラップするような。
メリハリのついたプログラムというか、大西宇宙さん中心の舞台のような趣があった。西宮で聴いたこの人のドン・ジョヴァンニより出来が良かった。地獄落ちのあとの六重唱までやるというのは、そこだけ出る歌手のこともあるが、指揮の沼尻さんの意向じゃないかな。
迎肇聡さんの起用はびわ湖ホールコネクションだろうし、清水徹太郎さんも同じだが、彼の場合は実力的に出番はもっと多くても。福井敬さんをああいう形で歌わせたのはファインプレー。破綻だらけの大アリアでなくてほんとによかった。青山貴さんはどんな役柄でも目立つ、今回のレポレッロのようなコミカルな役でもいい。ジョン・ハオさんは声質的にあの歌は無理、青山さんだったらなあ。須藤慎吾さんは普段より粗っぽさが目立たず、まずまずの出来。妻屋秀和さんのボリスは舞台でも観たい。さすがに新年早々生首を出すわけにもいかないのでボールだったが、森谷真理さんは熱唱だった。笛田博昭さんは外し気味のところがあったりして、なかなか安定しないのはいつものとおりかな。藤木大地さんはダカーポでのバリアンテがもっとあれば なお良かった。新年は海外にいるのか、出演しなかった人で、聴きたかったのは藤村実穂子さん、中村惠理さん、髙田智宏さん。
年末の紅白歌合戦も珍しく前半は横目で見ていた。グループばっかりで出場歌手の人数の多いこと。つまらないアイドルの曲が続いたあとのクイーン+アダム・ランバートには、思わずテレビに近づいてしまった。腹の底から出る声、異次元、モノが違う。代表曲らしいが初めて聴いた Don’t stop me now、ジャンルが違ってもいいものは、いい。